前世―その5「お願いします。現世では前世のように急死させないでください」

内モンゴル東部ホルチン地方に住む、定年した教諭で、シャマンの宝石(女性、1947年生)は、幼い時から前世を覚えています。よく語り聞かせてくれたのは、彼女にとって最も避けたいことは、現世での急死です。彼女によると、前世で、数回急死を経験しています。そのため、現世では、守護霊(先祖と蛇の精霊)と天と地の神に次のようにお願いをしています。「現世では急死させないでください。前世であったような急死から守ってください。そのようなことをないようにしてください。そのような出来事は、家族にとってあまりにも悲しいことです」

この話を女性シャマンから伺ったのは、中学校の時でした。当時の自分にとっては、前世の存在を信じるか信じないかということより、「前世」という言葉は、よく耳にする言葉だったので、深く考えたことがなかったです。ホルチン地方でよく、「この人は前世でどんな人だったでしょう」と現世の生活習慣や性格、外見から言われます。それは家族、親戚、村人、知り合いなどから、ちょっと会っただけで、そのように思われることもあります。  

 事例1つ挙げましょう。ある家族の話です。

1977年生まれの長男に姉2人と弟1人います。他の子どもの前世について、その親は語らないが、長男の前世について、よく話題に上ります。なぜなら、性格と、外見が特徴的だからです。長男は、幼児の時から、人のお碗のものを食べず、人の箸から取った食べ物を食べません。また、ほぼ肉を食べることがなく、血を見るのを極端に恐れます。両親は、我が息子のこれらの特徴から、よく、前世でラマ(仏教の僧侶)だったと話していました。でも、それだけではありません。長男は、福耳で、しかも2つの耳に、一列に一定の間隔を取って、それぞれ2つと3つの小さなくぼみがあります。これに対して、両親は、「この子は、前世では貴婦人だった」と言います。なぜなら、そのくぼみは前世でたくさんの耳飾りを付けていた痕跡だからです。古い写真を見る限り、確かに、裕福な人ほど、たくさんの耳飾り、頭飾りをつけていました。

仏教の清潔を重んじ、殺生を避ける特徴が長男の性格に現れているから、親がそのように言っていると思われます。また、生まれつきの身体的特徴が前世とつなげて考える根拠となっています。現世で、前世の特徴を持って生まれるということは、魂が生前を記憶しているということです。 ホルチン地方で、前世でラマだったと言われた場合、それを本人が認める事例も見られれます。性格的には、仏教の経典を唱えるのは好きだったり、ラマになったり、また、生前ラマだった人の霊に選ばれて、シャマンとして活躍する人もいます。

写真の説明

1983年生まれの世襲型女性シャマンに憑依した、女性先祖の霊。女性先祖は、生前名シャマンでした。死後、生まれ変わることがなく、守護霊となり、数代続けて子孫に憑依して機能しています。女性先祖は、生前を記憶しています(2019年10月撮影)。女性シャマンが先祖の霊を体に招き入れる前に、ゴムで髪の毛を束ねていたが、先祖が降臨して、頭を激しく震わすパフォーマンスを広げているうちに、ゴムが外れました。それによって、自然界にいる守護霊の野生性が醸し出されています。

なお、前世の事例を詳しく知りたい方は、サランゴワ著2019『ブォ・シャマニズムの現在―内モンゴル・ホルチン地方の新地平』pp.211-214、pp.267-270(牧歌舎)をご覧くださいませ。また、写真のシャマンは、本の中の包暁春シャマンで、韓美芝シャマンの孫娘です。
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